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最高裁判所第三小法廷 昭和23年(れ)298号 判決 1948年6月15日

主文

本件上告を棄却する。

理由

本件上告趣旨は末尾添附別紙記載の通りである

しかし物價統制令第十三條にいう「價格等」という語は同令第二條に其定義を掲げて居る「價格等」を受けたものである、即同條に列擧してある様な種々の財産的給付そのものを價格等といったのであって米とか獵銃とかの價値を金幾何と評價する其評價額をいうのではない、故に令第十三條に「價格等」という語があるからといって所論の様に取引の目的物を金幾何と評價して爲された取引でなければ同條の適用がないというものではない、同條は元來製造者又は販賣業者が賣買其の他の取引において對價として金錢以外のものを要求又は受領することを禁じて、たまたま交換し得る物を所有する者丈けが不公平に利益な立場に立つこと及價格の統制が亂されることを出來る丈け防止しようとすることを目的とするものである、其故農を業とする被告人が正當の事由が無いのに玄米二俵を獵銃一挺と交換した行爲は正に同條に該當するものであって原審がこれに對して物價統制令第三十五條第十三條を適用したのは正當である、論旨は理由がない

よって刑事訴訟法第四百四十六條に從ひ主文の如く判決する

以上は當小法廷裁判官全員一致の意見である

(裁判長裁判官 長谷川太一郎 裁判官 井上登 裁判官 庄野理一 裁判官 島 保 裁判官 河村又介)

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